2010/08/19

パトリック・コーヴァン

ル・モンド紙の訃報(第一報)はこちら
『リトルロマンス』の原作者ってことだけで有名なのは日本独自の現象かと思っていたら、フランスでもどうやらそういう傾向があったみたい。

クロード・クロッツ名義で出ている本をもっと日本語で読みたい、というのがわたしの翻訳志望の(たくさんあったきっかけというか)動機の一つでもありました。高齢でいらっしゃることはわかっていましたし、訳しもせず、翻訳したいという具体的な営業や持ち込みをしたわけでもないのに、やはりさみしい思いがよぎります。合掌。

しかし、このところこのブログ、訃報が多いですね。

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2010/06/12

マドモワゼル・シャンボン

DVDを鑑賞。

で、エリック・オルデールの原作ではフォーレとかバルトークとかの曲名が登場していたのですが、映画はそのあたり、だいぶ変えてあります。まずはヒロインのマドモワゼル・シャンボンがヴァイオリンで演奏する曲。知りあいの誰かがどこかで弾いていたような記憶もあり、気になって少し調べてみました。

仏語タイトルが「valse triste」。
Franz von Vecseyというハンガリー出身のヴァイオリニストが作曲。ダグラス・サーク監督『思ひ出の曲:Das Hofkonzert (1936)』作中で、マルタ・エゲルトの歌唱によって有名になった曲とのことです。ここまで調べたところで、私的な記憶がいきなりフラッシュバックして手におえなくなってきたので、いったん作業を中断。イメージ喚起力が異様に強いメロディです。ちぇっ(おっと失礼)。映画の感想などについては、またのちほど。

とりあえず、歌の映像はこちら→

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2010/02/10

到着

amazon.frに注文したものが、ぽつりぽつりと到着。
気分的には、年明け早々に発売になったYカドラの新刊がメインの買い物のはず、だったのだけれど。届いてみると、ついでのつもりで注文したものが重たいですね。

これこれ

CDのほう、モーツァルト、バッハ、シューマンがメイン。
いやもう、どれがどうって言えないくらい思い出だらけの曲目です。たとえばバルビゼがアンコールに必ず弾いていたきらきら星、たしかきちんとした録音はあまりないと言っていたけれど、これでまっすぐな気持ちで聴くことができる。シューマンのカーニバル、出だしをあんなふうに「シャンパンの泡をきらきらさせるように」弾けるピアニストなんていないだろうと思ってたけど、それもこの録音で聴くことができるのか。そしてバッハのイタリアコンチェルト、モーツァルトのヘ長調ソナタ(k332)とハ短調の幻想曲&ソナタ。

ああ。おそらく、封を切るのにかなりの気合いが必要。だって、「最後の録音」と銘打たれたベートーヴェンのソナタ3曲のCDでさえ、つい最近まで埃をかぶったまま、セロファンの封を切ることができずにいたくらい。

そして本。じつはあまり期待していなかったのだけれど、序文を読んだだけですでに号泣。こんなんで、読めるのかなあ。

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2010/01/24

ゲンズブール映画

朝日新聞ではレティシア・カスタ演ずるバルドーが話題になっている、と。記事はここ
個人的には予告編で流れる主役のゲンズブールのそっくりぶりに感心しました。
http://www.gainsbourg-lefilm.com/

や、今回の映画が日本にきて話題になって、ゲン「ス」ブールと濁らない発音だという主張が(ウィキに書いてある説明は、何度見ても笑えます)駆逐されてくれたらさぞかしすっきりするだろうなあ、とひそかに思っているのですが、まあそれはともかく。

もう一つ気になっているのが監督のジョアン・スファール。
今回の映画でも、ゲンズブールが書いたという設定でのイラスト作成で腕をふるっているようです。ウェブ上でも一枚絵の楽しいイラストなどがたくさん公開されていますね。いろんな意味で楽しめそうな映画です。

スファールの『星の王子さま』について書いたエントリーはこちら

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2009/04/10

Le Petit Prince/Joann Sfar

翻訳の同志(と勝手に思っている)である大西愛子さんが、BD研究会のサイトに本のレビューをアップ。

こちら→ジョアン・スファール 『星の王子さま』
原作の味わいを変えるというよりも、活字で読むと知らないうちに読み流してしまったり、思いこみのイメージのまま記憶のなかで固定してしまっていたかもしれない物語の印象が、鮮烈にリライトされて新たに心に迫るストーリーとしてくっきりとその陰翳をきわだたせてくる……そんなBD版の魅力が伝わってくるレビューです。

個人的に、この本はしばらくまえから、ネットでフランスの情報をチェックするたびにものすごく気になっていて、大西さんから「東京でも欧明社あたりに行けば平積みになってますよ」と教えていただいたのですが、なまじ「星の王子さま」がわりあいと好きで、しかもいまみたいに多くの翻訳書がちまたにあふれている現状を見ますと、かえって素直に手に取れなくなってですね。←へそ曲がりのひねくれモノの自覚あり。

でも、自分でまだ見てもいないのに、まちがいなくすてきな本だろうという確信があり、だから大西さんのレビューで気になった方はぜひ、お手に取ってみていただきたいです。

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2009/03/27

アニエス・デザルト

児童書ってやっぱり読みやすいから好きだわ。
寝るまえに布団で読みはじめ、朝起きてから最後まで一気に読破。
ああ、おもしろかった。

アニエス・デザルトはわりと初期の頃から気になって、いまだにときどき本を取り寄せて読んでる作家。最初に手を出したのはヤングアダルト系というか、日本でいうとわたしが小中学生だったころの青春ものっぽい(当時のコバルトみたいな)イメージの内容のものが書店でたくさん並んでいて、この路線は翻訳しても楽しいだろうなあ、と読みはじめたのがきっかけだったと。その後、この作家の本業?が英語→仏語の翻訳者だということに気づいて、勝手に親近感を持ってるってのもある。まあ、彼女の場合、手がけているのはヴァージニア・ウルフとかのごりごり系(勝手に名づけてゴメンナサイ)だから、自分で読んで楽しめる本の翻訳しかしたくない、という娯楽系大好きのわたしとはちょっと畑が違うかな。だから(というのか)、すごくすっきりした読みやすいフランス語なんだけど、そのぶんストーリーとかも妙にあっさりしていて、売りこんだところでそのへんをつつかれたら面倒くさいとか思ったりするので、日本の出版社に翻訳を持ちこむタイミングが(いまだに)つかめずにいる……わはは。

今回読んだのは、10歳くらいの男の子の一人称。わたしが通ったマドリッド通りのパリ音楽院(旧国立高等音楽院。いまではファサードだけ昔の雰囲気を残して、全面的に立て替えてしまったとのこと)のまえでの描写は、読みながら思わず、くすくす&しみじみ。うーん、手元にたまってきたほかの本とあわせて、そろそろ「日本語で読んでもらいたい本」企画の虫干しをしてみるか。

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2009/03/02

やり直せたら

Si c'etait a refaire!...というのはMarc Levyのデビュー作のタイトルではなく(似てるけど)、2002年にSeli Arslanというフランスの出版社から刊行された「ピアニスト」というインタビュー集の副題。最近だとよく、青柳さんがエッセイのネタ本にしている……かな。フランスのamazonでも長らく品切れだったけど、先日まとめて原書やら何やらをポチッとしようとしたときにふと見たら在庫が残り一冊とあったので、なんとなく読みたくなってついでに注文。

それが二週間ほど前に届いて、箱をあけてとりあえずこの本に登場する「よく知ってる人」のインタビューだけ眺めはじめたら、思わず「くすっ」と笑いが洩れ……というのは、もちろん「よく知ってる人」だからなんだけど、とまらなくなって立ったまま一気に数人分、読んでしまった(笑)。これ、ぼちぼちと読み進めて、ぜんぜん知らない人のぶんだけ、そもそも興味がないからなぁとか言いながら読み残すことになりそう。だって、収録された37人ぶんのインタビューのうち、日本人(おつかれさま~)や故人をのぞくと、自分の師匠とかを含めなくても三分の二は実際にわたしもインタビュー通訳をしたことのある人ばかりだから、それぞれの語り口がもう、目に浮かぶくらい。とくにBロフさん、あーもう、やはりあのひと、わたしゃ好きだわー。

わーはは。が、しかし。
こりゃもう、やっぱり某書の(訳はすばらしいけれども)Gリモーの学生時代の話でのいろんな人たちの「しゃべりかた」というか「日本語に訳したときのしゃべらせかた」が気持ち悪くて、ああ、仏文出身のかたが訳すとこうなっちゃうのね~と、翻訳文学の悲哀を感じたのも無理ないこと……というか、単にアタシの語学力に「品性がかけている」だけのことかもしれんが。って、すみません。意味のわからないことを書いてますね。このへんは、書いてる自分だけにわかればいいことなので、読んでるかたは「?」と思ってもテキトーに読み流してください。

あと、もう一つ思い出したのが、数年前にRヴィエが「講習会などでの自分のレッスンを追っかけて聴講していた女性がレッスンの内容を本にして出したのが評判になり、その人自身は音楽についてはまったく知らず、書いてる内容はまさにぼくのレッスンのパッチワークなのだが、すべて彼女自身の言葉であると思いこんだ人たちがピアノのレッスンをしてくれと彼女のところに行っているらしい」とブツブツ言っていて、その本というのはこの「ピアニスト」といっしょに刊行された「Professeur」という本のことらしい。まあね。気持ちはわかるが、あの人は腹を立てると二言目には「訴えてやる」と言うからさ(笑)。

で、今朝になってシュウ・シャオメイ(表記は探せば出てくるだろうけど、ここではテキトー)の短いインタビューを読んでみた。おもしろければ手遊びに訳してみようかなと思ったんだけど、彼女の口癖らしいのが「わたしの話なんかよりも、音楽の話をしましょうよ」で、「わたしの人生についてはすでに一冊の本が出ているけれども、そもそもあの本は大きらい」と言い放っているくだりには思わず爆笑。たぶん、彼女のバッハの演奏は今年なんらかのかたちで聴く機会があるような気がするけれど、個人的にはシューマンのダヴィッド同盟のCDを聴いてみたくなった。

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2009/01/28

Lireのサイトから

そうそう、忘れてました。
フランスの読書雑誌「Lire」のウェブで、編集部が選んだ2008年のベストセレクション20冊、というものが出ていたのでした。いやまあ、わたくしゴンクールとかフェミナとかのおもな文学賞は言うに及ばず、こういったセレクトものってのは軽く新刊チェックに使う以外には、あんまりひんぱんにリサーチさえもしていないので、このページも今年になってから見つけたというカメっぷりです。

ただ、うれしいことに、1位にヤスミナ・Kの最新刊が入ってました。2位がコーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』。フランスの読者も翻訳物は好きですからね。以下いろいろ。

で、本人(作家)的には、刊行と同時に読者たちからの圧倒的な支持(つまり売れ行き)があることを見せつけはしたものの、昨年のゴンクール賞からは鼻もひっかけられず、およそアカデミックというか、ごりごり系のフランス文学の世界からは黙殺という以上に2008年は冷やかで不当な扱いを受けたという思いがあったはずです。たぶん、アラブ系とか紛争地系の文学ってことでは、ほかに手頃な(言い方は悪いが、読み捨ててもよさそうな)新人がたくさん出てきて、識者たちの感覚からいくと「こいつはもう外人枠のシードには入れてやんねーよ」ってことだったのかも……というのは穿ち過ぎでしょうかね、はは。

あるいは、この「Lire」のコメントでも触れているように、筆致が古典的にすぎる、というのがその筋からの彼の作風へのおもな批判だったようですが、わたしみたいな遠い国からのただの一読者から見ると、じゃあいまのフランスのゲンダイブンガクってナニサマよ(どうせ十年後には誰も読まねーよ、とか)、さぞかしとんがった文学でいらっしゃることでしょうね、と冷笑したくなるような現状じゃないっすか~と思うんですけど・以下略。ま、ともかく。

いちおう、リストのページだけ、コピペしておきます。
http://www.lire.fr/enquete.asp/idC=53017/idR=

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2008/08/19

ちょこっと

ふと確認したら、amazonで予約開始していたので、忘れないうちにお知らせ。
こんど出る訳書です。ジャンルは児童書です。最初に原書を読んだ時点では「読者ターゲットは主人公の年齢層(つまり小学校中学年~高学年)とそのお母さん世代」としましたが、あらためて読んでみて、どの世代の人でも楽しめるロングセラーになってくれるといいなあ、とも。
細かい内容などについては、見本が手元に届いたらあらためてまた。

『ルウとおじいちゃん』

クロノス賞というのは、老年をテーマにした本に与えられる文学賞で、そのあたりのことに興味のあるかたは辻由美さんの『読書教育』(みすず書房)とあわせて読むと、よりいっそう読後の味わいが増すかと思います。

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2007/03/29

新刊のお知らせ

『テロル』ヤスミナ・カドラ(早川書房)1800円+税

最新の訳書です。わたしみたいな駆け出しの翻訳者がこんなことを言うのはおこがましい、と思いつつ、この本はたぶん、今後の十年間くらいは「わたしの代表作」になるはずです。もちろん、今後とも同じ作家の作品(とくに新作!)は、絶対に自分の手で訳したいと思っています。説明も何も不要で「ともかく読め、読みやがれ」というたぐいの一冊。いまならば少し大きめの書店でしたら平積みで置いてあるはずですので、このブログを読まれているかたは、ともかくお手にとってみてくださいませ。決して後悔はさせません、と断言しておきます。

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